「もう少しゆっくり触れてほしい」
「痛いから一旦止めてほしい」
「今日は気持ちが追いつかない」
——本当は言いたいのに、
口にすると雰囲気が壊れそうで、胸の奥で言葉が固まってしまう。
性の悩みは、女性にとってとても“言葉にしづらい”テーマです。
恥ずかしさや不安だけでなく、相手を傷つけたくないという優しさが、あなたを黙らせてしまうこともあります。
でもどうか覚えておいてください。
言えないのは、あなたの性格の問題ではありません。
むしろ、多くの女性が同じような苦しさを抱えています。
この記事は、“言いづらさ”の理由をほどきながら、気まずくならずに気持ちを伝える方法 をまとめたものです。
あなたの心が少し軽くなり、パートナーとの時間がもっと穏やかで安心できるものになりますように。
なぜ“性の気持ち”は言えなくなるのか?
性の悩みを言えないのは、実はとても自然なことです。
実は、その背景には 心理・文化・身体 の3つが重なっています。
① 心理の理由|“関係を壊したくない”という優しさ
女性は「調和」を大切にする傾向が強い、と心理学では言われています。
だからこそ——
- 相手が傷ついたらどうしよう
- 嫌われたくない
- 自分だけわがままなのかもしれない
こんな気持ちが先に立ってしまうのです。
本当は“もっと心地よくなりたいだけ”なのに、自分の感覚が正しいのかすらわからなくなる。
これは多くの女性が共通して抱える心のクセです。
② 文化の理由|“性の話はしてはいけない”という刷り込み
日本は世界でも“性について話さない文化”が根強い国です。
- 学校で習ったのは“避妊”と“妊娠”だけ
- 性に関する話は下品とされがち
- 親も、周囲も、この話題に触れない
- 何をどう伝えればいいのか学んでこなかった
私たちは「性のコミュニケーション方法」を誰からも教わってきませんでした。
だから言えなくて当然なんです。
③ 身体の理由|男女で“心と身体の順番”が違う
ここはとても重要で、多くの方が触れていない“すれ違いの本質”です。
女性
女性の場合は、心が安心すると、呼吸が緩み、身体が反応を始めます。
心 → 身体の順番でプレジャーを感じます。
男性
一方、男性の場合は、身体が反応すると、触れたいと思い、心がついてくるんです。
身体 → 心の順番でプレジャーを感じます。
つまり、お互いが悪いのではなく、順番が違うだけ。
この“自然な違い”を知らないと、男性は「断られた=嫌われた?」と感じやすく、女性は「期待に応えられない」と自分を責めてしまう。
この誤解こそ、性のコミュニケーションを難しくしている原因です。
まずは“自分の気持ち”を知るところから
いきなりパートナーに伝えようとすると、どうしても言葉がうまく出てきません。
だからこそ、伝える前に“自分の気持ちを知る時間”が必要です。
ここが整理されているほど、会話は穏やかに進みます。
ステップ1:身体の反応を観察する
- どんな触れ方なら安心する?
- どんな距離感だと呼吸がスッと楽になる?
- 焦らないでほしいと感じるタイミングは?
これは「わがまま」ではなく、身体が教えてくれる大切なサイン です。
ステップ2:気持ちを“3つの箱”に分けて整理する
SelfLoveでは、気持ちを以下の3つに分ける方法をおすすめしています。
事実(Fact)
例:「触れられると身体が緊張してしまう時がある」
気持ち(Feeling)
例:「痛くなりそうで不安になる」
願い(Wish)
例:「最初は抱きしめてもらえると安心する」
この形にすると、責めることなく優しく伝えられるようになります。
ステップ3:セルフプレジャーで“自分の心地よさ”を知る
セルフプレジャーは「性的な行為」として誤解されがちですが、本質は“自分の身体の安心ポイントを知る行為”。
- どこに触れると緊張が解ける?
- どんなペースなら呼吸が乱れない?
- 何が“イヤではない”と感じる?
これらを自分で知っておくと、パートナーに伝える言葉が自然と整理されます。
気まずくならずに伝えるための3つのコツ
ここからが “伝え方の技術” のパートです。
“心の安全”を守りながら伝える方法に重点を置きます。
コツ1:タイミングの選び方がすべて
性の悩みは、“いつ話すか”が最重要です。
❌ 行為の最中
理由:
- 相手は敏感で“ダメ出し”に感じやすい
- 女性も緊張して言葉が選べない
❌ 行為直後すぐ
理由:
- 相手が自己評価を下げやすく、受け取れない
⭕️ ベストなタイミング
- お互いが落ち着いている夕方〜夜
- 日常の会話の流れの中
- 家事のあと、コーヒーを飲みながら
- ドライブ中の横並びの会話
“安心がある環境”で話すと、驚くほど言いやすくなります。
コツ2:責めない“やわらかいフレーズ”を使う
性の悩みは、どんな言い方をしても相手が敏感に受け取りやすいものです。
だからこそ、伝え方の工夫 が大切になります。
ポイントは、“あなた”ではなく、“私”を主語にすること。
❌ 悪い例(相手を責める形になる)
- 「あなたの触り方が好きじゃない」
- 「なんでそんなに急ぐの?」
- 「痛いんだけど」
こうした言葉は、相手を“否定された”気持ちにさせてしまいます。
⭕️ 良い例(私の状態を伝える)
- 「私は、ゆっくり触れられると安心するみたい」
- 「最初に抱きしめてもらえると、気持ちが追いつきやすいんだ」
- 「ちょっと緊張してるみたいで、もう少し優しくしてほしいな」
同じ意味でも、“私”を主語にすると、自然とやさしい対話になります。
あなたのペースや感覚を伝えることは、責めることではありません。 安心していいんです。
コツ3:願いは“具体的に・短く・ひとつずつ”
性の話は、長くなるほど気まずくなりやすいもの。
たくさん話そうとすると、相手も混乱してしまいます。
そこで大切なのが、願いをひとつずつ、短く伝えること。
例1:ペースについて
「最初は、キスやハグからゆっくり始めたい」
例2:触れ方について
「胸の方は、もう少しあとが安心するみたい」
例3:距離感について
「触れ合う前に、少しだけお話しできると嬉しい」
このように、“私がどんな状態だと安心か” を中心に伝えると、お互いが気持ちを合わせやすくなります。
ふたりの認識を合わせるために
性に関するすれ違いは、お互いの努力不足ではありません。
実は、構造的な違いがある だけなんです。
期待しているポイントの違い
女性
- ゆっくり
- 安心
- 優しさ
- 言葉や空気も大切
男性
- 触れ方
- 行動
- スキンシップ
- 反応が欲しい
誤解が生まれやすいポイント
- 女性は「急に触れられると身体が固まる」
- 男性は「求めてくれていないのかな?」と感じやすい
- 女性は「心の準備が整っていないだけ」
- 男性は“技術の改善”として受け取ることが多い
✔ だからこそ、言葉にすることが大事
このズレを“悪いこと”としてではなく、“違いがある前提で歩み寄る” と考えると、ふたりの関係は驚くほど楽になります。
話し合える関係を育てる
性について話すのは、一度きりではありません。
ふたりが心地よくいられる関係を育てるために、小さな習慣を取り入れるのがおすすめです。
① 週1の“10分ふりかえり”
- 良かったこと
- 心地よかった瞬間
- 不安だった時
- 改善したいこと
これを 10分だけ 話す習慣を作ると、大きなすれ違いが起こりづらくなります。
② 行為のあとに“ありがとう”を伝える
これは心理学でも“関係を深める最強の行動”とされています。
- 「今日の抱きしめ方、すごく安心したよ」
- 「気持ちを合わせようとしてくれてありがとう」
こうした言葉は、次も優しくなれる関係 を育てます。
③ 無理をしない日をつくる
「今日は気持ちが追いつかないかも」→ それを正直に伝えていい日を作る。
無理を続けると、性が“義務”になってしまい、関係も疲弊します。
“お休みの日”は、ふたりを長く大切にするための 大事なケア です。
④ 気まずさをリセットする“合図”を決める
会話が難しくなった時のために、ふたりだけの“リセットフレーズ”を作っておくと安心です。
例:
- 「この話、また落ち着いたら続けようね」
- 「ちょっと一回呼吸したいかも」
これは 喧嘩の予防線 になります。
ふたりのプレジャーをもっと深く知りたい方へ
パートナーとの関係で悩んでいる方のお役に立つ知識や考え方などを発信しています。
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まとめ|性について話せる関係は、“安心のパートナーシップ”そのもの
性の話は、うまく話せているカップルの方が圧倒的に少ないものです。
でも、少しずつ心の声を出していけたら、ふたりの関係は今よりずっと優しく、安心したものになります。
- 伝えることは、責めることではない
- 心と身体のペースが違うのは自然なこと
- 完璧さより“安心して話せる関係”が大切
- ゆっくりすり合わせることが、お互いを大切にする愛し方
あなたが“言っても大丈夫”と感じられますように。
そして、ふたりの時間がもっとあたたかく、心地よいものでありますように。
