罪悪感を感じてしまうあなたへ
セルフプレジャーのあとに、「なんだか少し後ろめたい気持ちになる」という声をよく聞きます。
それは、あなたが特別ではなく、多くの女性が同じように感じていること。
自分の身体を大切にしたいと思う一方で、“気持ちよさを求めること”に罪悪感を覚えてしまう。
その揺れはとても自然なことなんです。
今回は、なぜそんな気持ちが生まれるのか。
そして、どうすれば「自分を責めずにいられるか」について、心理学や文化的背景からやさしく紐解いていきます。
「罪悪感」は、理性と本能のぶつかり合いから生まれる
セルフプレジャーに対して罪悪感を感じるのは、理性と本能が心の中でぶつかっているサインです。
たとえば、
今はやるべきことがあるのに…
こんなことをするなんて恥ずかしい…
そう思いながらも、どこかで求める気持ちがある。
そんな葛藤を経験したことはありませんか?
心理学者フロイトは、人の心には「本能(イド)」と「理性(自我)」が存在し、その間で常にバランスをとりながら生きていると説明しました。
本能は私たちが“生きる力”そのものであり、理性は社会で安心して暮らすための“安全装置”。
どちらも大切な働きを持っています。
つまり、罪悪感とは「自分を責める感情」ではなく、心がバランスを取ろうとしている自然な反応なのです。
感じることも、考えることも、どちらも“あなたの一部”です。
“恥ずかしさ”を生むのは、社会の中で身についた刷り込み
では、なぜ本能を大切にすることに、「恥ずかしい」「いけない」という感情がついてくるのでしょうか。
その背景には、日本社会に根強く残る“恥の文化”があります。
文化人類学者ルース・ベネディクトは著書『菊と刀』の中で、日本人は「他人の目を意識する社会」であると指摘しました。
西洋の“罪”が神との関係で生まれるのに対し、日本の“恥”は「人に見られること」から生じるのです。
この「他人の視線を気にする文化」は、私たちの深いところにまで染みついています。
性や快楽は“人に見せてはいけないもの”とされ、家庭や学校で自然に話す機会もほとんどありません。
気づかないうちに、「性=隠すもの」「恥ずかしいもの」と自分の中に刷り込まれている――
それが、プレジャーを前向きに受け入れられない原因の一つです。
プレジャーは「個としての自分」を取り戻す時間
社会や家庭の中での「役割」に囲まれて生きていると、いつの間にか“他人の目”で自分を見てしまうことがあります。
でも、プレジャーの時間は誰かのためではなく、自分のための時間。
それは、社会的な評価や立場から離れ、“個としての私”を取り戻す行為でもあります。
本能を抑え込むのではなく、「私には心地よさを感じる権利がある」と認めてあげること。
それはわがままではなく、自分への信頼を取り戻すことなんです。
心理学者カール・ロジャーズはこう言っています。
「人は、受け入れられることでしか変わることができない。」
プレジャーを通して「感じてもいい」「これでいい」と思える時間を持つことは、
まさに自己受容の練習でもあります。
「本能を大切にする」ことに罪悪感はいらない
多くの女性が、「本能的な欲求を持つ自分をどう扱っていいか分からない」という悩みを抱えています。
けれども、食べる・眠る・泣く・笑う――それらと同じように、“感じること”も人間としての自然な反応です。
オキシトシンというホルモンは、プレジャーの際に分泌され、安心感や幸福感を高める働きをします。
このホルモンはストレスホルモンであるコルチゾールを下げ、心拍や呼吸を安定させる効果が確認されています。
つまり、プレジャーは身体が自分を癒すための仕組みなのです。
本能を大切にすることは、自分を甘やかすことではありません。
むしろ、心と身体の声をきちんと聴く成熟した姿勢。
その瞬間こそ、「私はここにいる」と実感できる時間です。
罪悪感をやさしく手放すためのステップ
Step1. 「恥」は悪ではなく、学習された感情だと知る
罪悪感や恥ずかしさは、生まれながらにあるものではありません。
社会の中で身につけた“思考のクセ”です。
「これは恥ずかしいこと」と思ったときは、「これは私の本音ではないかもしれない」と一度立ち止まってみましょう。
Step2. 「安心」を感じる時間をつくる
プレジャーは安心の中でしか感じられません。
温かい照明、やわらかい香り、静かな時間。
心と身体がゆるむ環境を整えるだけで、“自分を責める思考”は静かに弱まっていきます。
Step3. 自分を許す言葉を持つ
「こんな自分でもいい」
「感じていい」
そうつぶやくだけで、脳は安心を学習します。
小さな言葉が、罪悪感をほどく第一歩になるのです。
自分を許すというセルフケア
自分を許すとは、過去の自分を“正当化する”ことではありません。
ただ、「もう責めるのをやめる」という選択をすることです。
感じることを否定せず、「私はこう感じた」と認めるだけで、心は驚くほど軽くなります。
プレジャーの時間は、社会や誰かの価値観から離れて“自分とだけつながる”時間。
本能と理性、どちらも大切にできたとき、罪悪感は静かにやわらいでいきます。
心をととのえるためにできることをもっと深く知りたい方へ
日々がんばっているアナタ、知らないうちに心と身体がバラバラになっていることも…
身体が発しているサインに気づき、自分の気持ちや考えをしっかり聞くためのメソッドをご紹介します。



おわりに ― 恥をやさしさに変えていく
セルフプレジャーに罪悪感を感じるのは、あなたが「まじめで、思いやりのある人」だからです。
誰かを傷つけないように、自分を律してきた証でもあります。
でも、その優しさを少しだけ自分にも向けてみてください。
感じることを恐れず、“自分を大切にする勇気”を選ぶこと。
それが、罪悪感の向こうにある「本当のやさしさ」です。
